使い込むほど味わい深くなる茶器『萩焼』の歴史

山口県の伝統工芸品と言えば 萩焼 ですが、それがいつから作られ始めたのか知っていますか?

萩焼が製造されている萩市は幕末の歴史ファンにもよく知られている土地ですが、昔から窯業として有名な町でもありました。

萩

伊万里焼などの焼物と比べると、色はうっすらとした橙色か、ふんわりと淡いベージュ。
絵付けもほとんどがされておらず、とてもシンプルなデザインの、一見すると本当に質素な見た目をしています。

それでも全国に数多くのファンが存在する萩焼

我が家にもいくつか萩焼の湯飲みがあり、温かいお茶が飲みたくなった時には必ず使っているお気に入りの茶器です。

そんな根強い人気のある、萩の焼き物についてご紹介します。

一楽二萩三唐津

萩焼

日本には陶磁器の種類がたくさんありますが、みなさんは焼き物といわれると、どちらのものを思い浮かべますか?

岐阜県の美濃焼や、佐賀県の有田焼などが有名でしょうか。
山口県だと、まずは萩焼を思い浮かべます。

茶道の世界では古くから茶人の好む茶碗の格付けがされていました。

「一楽、二萩、三唐津」

一番良いものが京都の楽焼、二番目に山口の萩焼、三番目に佐賀の唐津焼。

なんだか字面もよくリズミカルで、思わず口ずさんでしまう響きです。

これら三種類の陶磁器は、それぞれに独自の味わいがあり、また実際に使ってみることでその良さを実感することができるとても奥が深いものです。

その中のひとつでもある萩焼は『萩焼の七化け』と呼ばれる、使い込む楽しさを持つ面白い陶磁器。

萩焼が今も昔も多くの茶人に愛されている理由は、その萩焼の七化けにあります。

萩市の陶磁器 萩焼 について

萩焼の特徴は、淡く美しい枇杷色のシンプルな見た目。

一見すると特筆した個性がないようにみえますが、実はその独特なつくりを知ると、クセになってしまうような魅力が隠されているんです。

萩焼の歴史

萩焼が生まれたのは、現在の山口県萩市。
この町で窯焼が盛んに行われるようになったのは今から約400年ほど前にまで遡ります。

関ケ原の戦いで敗北したのち、周防国と長門国に厳封された毛利氏は拠点を萩へと移しました。

その時に毛利氏が萩へと招いたのが、朝鮮人陶工の李勺光り しゃくこう李敬り けい兄弟。

陶工

毛利藩の御用窯として開窯した彼らは、そこで高麗風の茶陶を制作します。
それが今に続く、萩焼の始まりでした。

かつて「萩焼」は「萩焼」とはいわず、地元の地名から名を取って「松本焼」や「深川焼」などと呼ばれていたそうです。

萩焼と呼ばれるようになったのは明治以降から。

明治維新以降に一度、どこの窯元も衰退の一途をたどっていましたが、明治後期に日本の伝統文化が再評価され、多くの名品が蘇りました。

「一楽、二萩、三唐津」とうたわれるようになったのは、この頃からだといいます。

萩焼が一気に有名になり、その知名度を上げたのもこの茶の湯ブームの時。

お湯

その後、再び昭和の西洋化に伴い存続の危機に立たされますが、10代目三輪休雪みわ きゅうせつという方が白い萩焼を開発します。

これに火が付き、再び萩焼は一躍人気となりました。
以降、萩焼は人びとの中から消えず、今もなお愛される茶器となっています。

この時の三輪休雪氏は、後に人間国宝に指定されました。

萩焼の特徴

萩焼の素地の特徴は、やわらかくふっくらとした質感。
三種類の土を調合してつくられており、それらが独特の風合いを出しています。

💭 三種類の土

  1. 鉄分を多く含んだ赤黒色の見島土
  2. カオリン質で白色の金峯山土
  3. 鉄分が比較的少ない灰白色の大道土

これら三つの土が調合・調製されてつくられた土は粗く、焼き上がりには表面にすき間ができて細やかなヒビが入ります。

萩焼貫入

貫入かんにゅうと呼ばれるそのヒビは、一種の模様のよう。

シンプルな陶磁器の魅力を最大限に魅せる自然な装飾です。

その貫入から水分が浸透して、器の中から表面に染み出し、器に茶が染み込んで色合いが変化していくことを七化けといいます。

萩焼の最大の特徴ともいえるそれは、使い込むだけどんどん味わい深くなり、世界で一つだけの自分の器へとなるのです。

高台の切り込み

高台とは、茶器などを裏返したときに底にある輪っかの部分のことです。

萩焼高台

萩焼のもうひとつの特徴として見られるのが、この高台に切り込みが入っている姿。

切り込みが入っているものを「切り高台」「割り高台」とも呼びます。

切り込みが入っていないものもありますが、高台のこの切り込みは職人さんそれぞれの味や違いを出すことにも一役買っているのです。

高台についての詳しい記事はこちら
萩焼の特徴のひとつ『切り高台』について

萩市の萩焼まつり

毎年5月の頭には、萩焼まつりが5日間開催されます。

窯元さんや卸売業者が一堂に集う即売会!
約50店舗もの出店があり、大いに賑わいます。

萩焼

通常の価格よりも安く手に入れることができるので、萩焼まつりの時期を狙って訪れる人も多いのだとか。

品ぞろえも豊富で、会場の外では萩の特産品や近くの海で獲れた新鮮な魚介類など地元の味も堪能できます。

※秋には『秋の田町萩焼まつり』が開催されます。
2018年の開催は10月5日(金)~8日(月・祝) が予定されていますが、変更になる場合もあります。

まとめ

いかがでしたか?

一楽二萩三唐津とうたわれ、人々に愛されている山口県の伝統工芸品 萩焼 は一見シンプルなように見えて様々な特徴とクセのある味わい深い陶磁器です。

意外と知らないこともあったのではないでしょうか?

山口県の萩市では、現在もいくつかの窯元さんが萩焼を制作されています。
中にはろくろをまわし、器をつくる体験ができる窯元もあります。

陶芸家さんたちの作品を購入し、さらには旅の思い出に自分だけの萩焼を作ってみるのも良いかもしれませんね。